塾長ブログ

教育とは何か?

私が学校教育(小学校入学)を受け始めてから半世紀になろうとしています。
当時は高度経済成長期のピークは過ぎてきていたとは言え、まだ人口は増え、経済も大きくなり、
『一億総中流』なんていう言葉もあったように、汗して真面目に働けば正社員で終身雇用が保障され、
老後もふつうに幸せな生活が送れる時代でした。

今思うと、当時の学校教育は、そんな社会に合った実直な会社員をつくるための教育だったように思います。
読み書き(国語)そろばん(算数)が平均的にでき、個性を出すより指示されたことを早く正確にこなすことができる、
企業はそういう人材を求め、そういう人材を社会に送り出すのが学校教育の役割だったのではないでしょうか。

しかし、今から20年くらい前から企業が求める人材は大きく変化し、
必要な能力は「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」といった能力になりました。
にもかかわらず、人材を育てるための学校教育は50年以上ずっと大きく変わらずに来ています。

今年の7月に初めて見たアメリカの教育ドキュメンタリー映画『Most Likely To Succeed』に出てくる教育の考え方は目からうろこです。
生徒は、『教えてもらう子ども』ではなく『自ら学ぶ人間』であるという見方です。
当然、その学校にいれば、生徒がひとりでに自ら学ぶ人間として行動するわけではありません。
教師は、生徒にテーマを与え、提案したり、相談にのったり、アドバイスしたりしながら生徒の学びをサポートしていく立場です。
今までと違う教育スタイルへの教師自身の葛藤もありながら、何人かの生徒にスポットを当てて、その生徒の成長を追っていく映画になっていました。

最近では「イエナプラン教育」「プロジェクト教育」「インクルーシブ教育」「モンテッソーリ教育」……
様々な教育の手法や理念などが話題になっています。
AIやロボットが社会の様々な場面に出てくるこれからの時代。
今までのように、指示通りに正確に行うという能力は、ロボットにとってかわられるでしょう。
人間だからこそできること。
それぞれの個性から生まれる、AIを越えた意外性のひらめきや、
常識にとらわれないチャレンジ精神協働性多様性の尊重といったものを育んでいくために、
いろいろな教育の選択肢があっていいのだと思います。
そして、私たち親の世代も今までの教育システムが標準であり、一番であるという考え方を捨てる時期が来ていると思います。

いっぽ塾ではこれからも、一人一人の特性の中から強みを伸ばし、
個々の目標は違っても協働性を大切にしながら、
それぞれの成長を支援していきたいと思います。

塾長 木口

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